名古屋市では、マチのコーディネーターを育てる実践講座「machico〜マチとつながる、ちいさなしくみ~(通称:マチコ)」を開催します。
machicoはマチに根付いた店づくり・拠点づくり、イベントや仕掛けを通じたマチとの関わり方など、コーディネーターとしてマチに関わる手法を多角的な視点から学ぶことができる講座です。
お店をつくりたい人も、イベントなどでマチと関わりたい人も、じっくり半年間かけて仲間と学び合いながら自分らしいマチへの関わり方を見つけていきます。
これまでの卒業生は総勢65名となり、中にはお店を開業された方、場づくりやまちづくりを実践されている方など、その後も多くの人が名古屋市内の各地で活動しています。
▼プログラムの詳細はこちらのホームページをご覧ください。
https://shotengaiopen.nagoya/machico05/index.html
今年で5回目の開催となるmachico。2021年から2023年までは「まちコーディネーター養成講座」として広くまちづくりを学ぶ講座を開催し、2024年には場づくりをしたい人向けに「machico – 場づくり実践編 – 」として大幅にリニューアル。今年は「バショ側」「マチ側」の2コースに分かれて、さらに実践的にマチに関わりたい人向けに内容がパワーアップしました。
2025年のプログラムを考案したのは堀江浩彰さん。名古屋駅西「ホリエビル」オーナーであり、2024年の講座ではリーダーとして参画。今年は講師・統括アドバイザーとして、企画の段階から運営に関わっています。そんな堀江さんに、プログラムに込められた思いやこだわりについて話をお聞きしました。
堀江:昨年のプログラムは「場づくり実践編」として、マチを舞台にイベントや場づくりをやってみるという内容でした。リーダーとして関わらせてもらう中で、チームとしていい活動はできたけど、時間の制約やプログラムの進行上、参加者それぞれのやりたいことの深堀りやサポートがあまりできなかったのではないかと感じています。
そこで今年は、もっと個人のやりたいことを手厚くサポートできるよう、マチでお店や拠点づくりをしたい人向けの「バショ側コース」、マチを活性化させるイベントや仕組みづくりをしたい人向けの「マチ側コース」の2コースに分けることにしました。
2つのコースは、手段が違うだけで目指す先はどちらもマチを舞台に活動することだと思っています。どちらにするかは受講をする中で決めてもらってもいいですし、途中で違うと思ったら変えてもらうことも可能です。定員もコースごとに半々とは思っていないので、ご自身がやりたいものを選んでください。
堀江:今年のテーマは、「一人ひとりのやりたいことに現実味を持たせていくこと」だと思っています。いつかお店をやりたい、場所を持ちたいという「バショ側コース」の人は事業計画書まで、マチでの拠点を問わず、イベントづくりなど自分なりの関わり方を見つけていきたい「マチ側コース」の人は企画書まで、やりたいと思ったことを実現できるように12回のプログラムを通して丁寧にバックアップしていきたいと思っています。
始めるだけでなく、そこから長く続けられることが大事だと思うので、資金面も含めて一緒に具体的なところまで考えていきましょう。
堀江:受講中は、講師だけでなくサポート役の人もついてくれます。メンバーはmachicoを経てお店を開業した人や準備中の人など、少し先に進んでいる受講者の目線に近い人たちです。全員共通のプログラムでは2人、2コースに分かれた後は4人で、私を含めた5人体制で進めていきます。
また、私とは異なる分野での経験や知見のある人に声を掛けているので、みなさんのやりたいことに幅広く伴走できるように準備をしています。受講中にわからないことや相談したいことがあれば、遠慮せずに聞いてくださいね。
堀江:マチで活動したい気持ちを持っている人たちが参加するので、一緒に考える仲間と出会えるのも魅力のひとつです。個人のやりたいことをブラッシュアップしながら、ぜひこの講座が終わった後にも相談できるような仲間や繋がりをつくってください。これまでの卒業生からも、machicoをきっかけに出会った人と繋がり続けているという声を聞いています。
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今年のmachicoはより手厚く、より具体的にマチへの関わり方を学べる講座になっています。「バショ」から関わりたい人も、「マチ」から関わりたい人も、仲間と学び合いながら自分らしい関わり方を見つけていきましょう。
受講者の募集にあたって、6月25日(水)になごのキャンパスを会場に事前説明会を開催しました。平日の夜にも関わらず40名以上の方にご参加いただき、年齢は10代から60代まで、立場も会社員や公務員、自営業、フリーランスの方などさまざまでした。
プログラムは①machico〜マチとつながる、ちいさなしくみ~ についての説明、②まちづくりに取り組んできたゲストによるトーク、③ゲストとmachico卒業生を交えたトーク、④参加者からのQ&Aの4本立て。進行はナゴノダナバンクの藤田まやさんが担当しました。
machicoを主催する名古屋市経済局地域商業課の原田真菜さんと統括アドバイザーの堀江さんより、講座の内容について話をお聞きしました。受講後のゴールは「自分らしいマチとの関わり方を見つけられること」、「商店街やマチでお店や自身の活動をはじめる一歩になること」です。
今回のゲストは、港まちづくり協議会等で長年マチに関わり、現在は大学の先生をされている古橋敬一さんと、北区を拠点に絵を描きながらマチに関わる活動をされている鷲尾友公さん。machico統括アドバイザーの堀江さんを交えた3名で、和やかな雰囲気でありつつも、それぞれマチに関わって感じていることを語る熱いトークとなりました。
堀江さんは、自身のお店の前で7年ほど挨拶を交わしていた人に最近話しかけられるようになるなど、長い時間を掛けてようやくまちに馴染んできた感覚があると話します。古橋さんは学生時代からマチに関わってこられましたが、「まちづくりって何?」と今もずっと考えつづけているそうです。
鷲尾さんからは、自分が関わるマチに住むことの大切さをお聞きしました。暮らしているからこそマチの様子がわかり、マチに根付くことになると言います。続いてほしいと思うお店に通うことも意識されているそうです。
今回登場いただいた卒業生の方は、machico1期生であり大曽根商店街で「喫茶はじまり」を開業した高野仁美さんと、machico4期生であり那古野エリアで「めぐるごはんと、」をオープンしたばかりの山本明日香さん。
高野さんは幼少期から喫茶店が好きで、自分でもお店を持ってマチに関わりたいと思っていたそうです。machicoに参加したことで、地域への飛び込み方を学ぶことができ、今はお店を開きながら町内会や消防団にも入って、まちの人とともに活動することを続けています。
山本さんは料理教室をされていて、お店もやりたいと思った時にmachicoに参加しました。半年間のプログラムを経て、お店のイメージが具体的になり、応援してくれる人や手伝ってくれる人と出会うことができたと言います。初めてのお店の経営に不安もありますが、堀江さん含め周りに相談できる人がいることが安心に繋がっているそうです。
参加者の方からマチへの関わり方や、講座に関することについて質問が出ました。そのうちいくつかを抜粋します。
Q1.「居心地のいい場所」をつくることは、お金儲けとは離れたところにあるような気がします。実際はどうですか?
A1.
堀江:家賃も光熱費も人件費も必要がないという条件がない限り、収益性のない「居心地のいい場所」づくりは、自分には続けられないのでやらないようにしています。
古橋:昔はお客様は神様みたいなイメージがありましたが、最近はもてなされるよりも自分も関わって一緒に場をつくっている感覚のあるお店の方が居心地いいと感じる気がします。
高野:わたしも自分のことが受け入れられて、役割のある場所が居心地のいい場所だと感じています。最近はお店が忙しい時に近所の常連さんが皿洗いを手伝ってくれて、徐々にいろんな方の居場所になってきているなと実感しています。
Q2.講座の定員は16名ですが、説明会だけで40名以上の方が来ています。応募多数の場合はどうなりますか?
A2.
藤田:応募多数の場合は選考となるので、応募フォームにぜひ熱い思いを書いてください。
Q3.応募時点でコースを決めておく必要はありますか?
A3.
藤田:すでに決まっている方は応募時に選択いただきますが、現時点で決まっていない方は「迷っている」という欄を選択してください。一度決めた後でも、違うと思ったら途中でコースを変更してもOKです。
Q4.応募の段階でお店をやる覚悟まで持っておいた方がいいでしょうか?
A4.
堀江:覚悟と理想は大事だと思います。来年やりたいのか、5年後やりたいのかによってフェーズが変わってくるので、それぞれの状況に合わせて柔軟に対応できたらと思います。
machico〜マチとつながる、ちいさなしくみ~の受講者を募集中!
平日の夜、ホリエビルを会場にマチへの関わり方を考える全12回の講座となっています。
応募締切は7月21日(月・祝)で、プログラムは8月からスタート。マチで一歩踏み出したい、あなたのエントリーをお待ちしています。
▼応募はこちらから
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd_FGt5JMZWzsw5NOIQ650tsvGkBmm63grY4XOHYENQjspRhw/viewform
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machico卒業生を特集したレポートはこちらからご覧いただけます。検討中の方はぜひご覧ください。
※プログラム内容は machico〜マチとつながる、ちいさなしくみ~ とは異なる場合があります。
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https://shotengaiopen.nagoya/special/971.html
取材・執筆/菅原春香
写真/髙橋幸大・菅原春香